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2015年9月

2015年9月30日 (水)

世界の歴史を少し正確に理解する ヒッタイト王国

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メソポタミアの強国バビロニアを滅ぼし、ラムセス2世のエジプトと対抗したアナトリア半島、つまり現在のトルコに存在した王国、ヒッタイト。紀元前18世紀ころから存在したことが確認されている古代文明です。彼らが最強だった理由は鉄器を使っていたからです。世界最初の製鉄技術を持つ鉄器文化、青銅器文化に勝てるはずもありません。鉄は切る武器、青銅器は叩く武器ですからね。ヒッタイトは紀元前14世紀に全盛を迎え、メソポタミアの北部までを領土に収めていました。しかし残念ながら残っている歴史の量という面ではメソポタミアに劣ります。彼らも楔形文字を使っていたようですが、あまり多くの文章が残っていないようです。ヒッタイトの軍隊はエジプトの壁画にも見られます。今後の発掘が待たれます。

 

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強かったヒッタイトはエーゲ海文明同様、紀元前1200年ころに「海の民」(民族は不明)に滅ぼされ、その後のアナトリア半島には紀元前9世紀にフリュギア、紀元前7世紀にリュディアという国が生まれます。紀元前6世紀に誕生したアケメネス朝ペルシアは強かったのですが、紀元330年に東ローマ帝国が首都をコンスタンチノープル(今のイスタンブールに)にしてしまいます。トルコはキリスト教とイスラム教が領土争いを繰り返す場所として有名です。その後もササン朝ペルシア、イスラム帝国、セルジュークトルコ、オスマン・トルコと強国がひしめき合います。ヨーロッパの歴史を見る時、アナトリア半島とイスラム(ペルシア)勢力の動きを見ていないと理解が浅くなりますし、もっと言えばモンゴル人の動きも重要です。ユーラシア大陸は一続きですからね。

 

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ヒッタイトはインド・ヨーロッパ語族です。このインド・ヨーロッパ語というのは英語からインドの言葉を含むので現在では中国や日本を除く世界中に広がっています。ざっくり言えば、インドからヨーロッパの一帯に広がっていたのでどこが起源かわからず、「インド・ヨーロッパ語」とひっくるめて言われているようです。その中でも古い国がメソポタミア、ヒッタイト、インド、地中海沿岸の文化のようで、文字の起源は楔形文字です。ヒッタイトの都市遺跡であるハットゥシャ(世界遺産)には城壁や神殿などの遺跡がありレリーフが残っています。エジプトとの平和条約を書いた粘土板も見つかったようです。このような遺跡がさらに見つかればヒッタイトの歴史が明らかになってきますね。

 

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現在のトルコは周辺に政情不安を抱える国ばかりの中で比較的平和な国という印象があります。古代最強の軍団がこの地で生まれたという印象がわきにくいですね。

 

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2015年9月29日 (火)

世界の歴史を少し正確に理解する 旧約聖書は歴史書なのか

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メソポタミア、エジプト、アッシリアなど周辺の巨大国が歴史を残しているので、旧約聖書に多くの史実が含まれている事もわかります。戦争の勝ち負け、出エジプトやバビロン捕囚などは史実ですしダビデ、ソロモンなども実在したのでしょう。旧約聖書の特徴は戦争の勝ち負けや民族移動などにヤハウェの審判が入っているという解釈が付け加えられている事です。キリスト教はキリスト生誕からその後の比較的短い期間を扱いますから歴史書と言いづらいのですが、旧約聖書は2000年近い歴史を誇ります。「死海文書」を見る限り、旧約聖書はバビロン捕囚から解放されて整備された「ユダヤ教」やシナゴーグが現在の形で成立する前から書かれ蓄積されている事がわかっています。

 

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ユダヤの神は残酷ですが、これはヤハウェに日本語で「神」という言葉を与えたことによる誤解と考えています。正確に言えばヤハウェ(ゴッド、アラー)に該当する日本語は無く、神が残酷なのではないのです。ヤハウェはユダヤ人の運命を握る創造主であり主権者です。人の生死を自由に操ります。「神」と言えば、どうしても日本の神、もしくは天皇家を連想してしまいますが、日本の神は中国の神と同じく、実在の人物であるか人間の粋を大きくは超えません。天照大御神はともかく、菅原道真に至っては明らかに歴史上の人物です。道真の「崇」は痛烈でしたが一時的です。ヤハウェは何千年にもわたり、そして現在もユダヤの人々を助け、苦しめ、状況によっては殺している日本には比較対象の無い超越した存在、頂点です。日本では何か悪い事が起これば、「違う神社に行ってみよう」となるかもしれませんが、ヤハウェに代わる存在はいません。信心を高めるしか方法は無いのです。旧約聖書や十戒は強い精神的な戒律であり、憲法であり、ユダヤの人たちが助けを求める存在ではありません。日本人が神社で祈るように助けを求めてもかないませんし求めてもいけません。信心を高める事で、ヤハウェがユダヤの人民を助けるのです。(キリストも願いはかなえませんが許してくれます、つまり許しを請う事ができるという面で大きく違うのです)。ユダヤ教の人たち、またキリスト教やイスラム教の人たちは「神の名のもとに」戦争を起こします。日本も尊王思想の下で恐怖の戦争を起こしましたが西洋の真似ごとにすぎず、ユダヤ教には何千年もの歴史があり不変です。つまり旧約聖書を理解するうえでの最初の一歩は「ヤハウェは日本語で言う神ではない」と念頭に置くことです。ハリーポッターのボルデモートは「名前を呼んではいけない存在」でした。これは明らかに旧約聖書の真似ですが、考えてみればユダヤ教徒にとってヤハウェはボルデモート以上に恐怖の存在なのでしょう。

 

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ユダヤ人の葛藤はなぜ人間が生まれたのか、なぜ気候の厳しいカナンの地に暮らさなければいけないのか、なぜ戦争に勝ち、なぜ侵略されるのか、なぜ敵を殺さなければいけないのか、それらをたった一つの根本理由であるヤハウェの存在で説明しているのです。旧約聖書には明らかに多くの著者がいますが、根本原因が定まっているのでどれだけ多くの作者がいても強い一貫性があります。書き上げてきたのは預言者、神と会話できる職業の人たちだったのでしょう、だから後世の人たちは旧約聖書に書いてあることが否定できず、常に自分たちの歴史を書き事しかできなかったのでしょう。ユダヤの人たちは何度もユダヤ教を軽視して罰を受けたと旧約聖書に書いてあります。しかし個人的にユダヤの人たちは昔から十分に信心深く、単に何か不可解なことが起これば「神を十分に信じていないからだ、もっと信じなければいけないのだ」と理由を付けただけでしょう。言葉を変えれば世界の歴史書の中でも数が少ない正確な歴史を含んだ歴史書だと考えています。

 

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ただ私が思うのは、イスラエルに生まれなくてよかった。この厳しい戒律を一生守り通す自信が私にはありません。最後に一言だけ、旧約聖書は人が書いた文書です。ヤハウェも誰か古代人の想像なのです。さて旧約聖書に出てきた、アッシリア、新バビロニア、ペルシァ、アレクサンダー大王について確認しておきましょう。

 

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2015年9月28日 (月)

世界の歴史を少し正確に理解する 天動説と地動説

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ユダヤ教では神が地球を作った後で天を作りました。そのため、天動説は大問題でした。天動説はコペルニクスやガリレオ=ガリレイが有名ですが、実は古代ギリシャ文明ですでに天球儀が作られており、ほぼ天動説にたどり着いていました。しかし本当のところはどうなっているのでしょう。

 

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アインシュタインから始まった相対性理論からビックバン理論が出てきました。わかりやすく言えば地球も太陽も動いており、ビックバンの時代から宇宙空間をものすごいスピードで飛び続けているのです。正確ではないですね、宇宙空間も広がり続けていますからね。まっすぐに地球は飛び続けているつもりなのですが、多くの天体の重力に影響を受けておりらせん状に飛び続けています。この現象をわかりやすく説明できるのが天動説です。地球を基準にするより太陽を基準にした方がわかりやすいというだけであり、どちらも正解でどちらも不正解、ビックバン理論、膨張モデルのみが正しくて、宇宙の果てに向かって落下を続けているだけなのです。

 

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私たちが学習した科学は私が大人になる間に進化しました。私が学んだ頃宇宙の歴史は65億年くらいと言われていましたが、その後、ビックバン理論が主流となり、天体望遠鏡が発達して現時点では138億年くらいになっています。倍増(苦笑)それでも宇宙の外に何があるのかわかっていません。宇宙の外が無であったとすれば宇宙自体が発生するはずがありません。

 

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宇宙の外に何があるのか、それを神と呼んでいいのか私にはわかりませんが否定もできませんね。

 

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2015年9月27日 (日)

世界の歴史を少し正確に理解する 聖書の神話

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聖書自体が神のヤハウェの物語です。唯一神ですからほかの神は出現しません。聖書に出てくるのは天使であり、「神々」という複数形が使われることがあります。大天使ミカエル、イエスの生誕を告げたガブリエル、あまりに有名で説明の必要がないサタン(ルシファー)には触れません。もう少しマイナーな天使に触れておきます。

 

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ユダヤ教を知らなくてもファイナル・ファンタジーが好きな人が知っている、リバイアサン、ベヒモス、バハムートは旧約聖書に出てきます。エヴァ好きが知っておくべきなのはアダムの相手としてエヴァの前に神が作った女性、リリス。エヴァではなくリリスだったというの「エヴァではなかったのか」という使徒の言葉だと考えています。

 

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日本では比較的知名度が低いラファエル、ノアに箱舟の作り方を教えたり病を治すなど、旧約聖書の中では優しい天使です。救世主、イエスに近いですよね。病を治すという奇跡は現在の医学の考え方とは違います。病は人間の罪であり、神が与えた罰であり、その罪を開放するのは神の技でラファエルでありイエス、その使徒ができるのです。

 

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他にもヴェルゼブブとかメタトロンとかたくさんの悪魔や天使が聖書には登場します。インキュバスとサキュバスも有名ですね。

 

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2015年9月26日 (土)

世界の歴史を少し正確に理解する アダムとエバは誰の先祖なのか

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宗教上の作り話であり、生物学ではありません。「旧約聖書によれば」メソポタミアに生まれたアダムとエバ(イブ)の子孫にセム、ハム、ヤフェトがいます。セムはセム語族の始祖、ハムはハム語族の始祖、そしてヤフェトはインド・ヨーロッパ語族の始祖と言われています。セムの子孫がアブラハムでその息子であるイサクの子孫がユダヤ人に、イシュマエルの子孫がイスラム人(アラブ人)になった事になっています。これは宗教上とても重要なことなのです。イエスはユダヤ人ですからヨーロッパの国々の人たちとは別系統です。しかしユダヤとイスラムの先祖はどちらもカナンの地を約束されたアブラハムであり、お互いに仲が悪かった母親が違う二人の息子から分かれています。イスラム教にとってもキリスト教にとってもエルサレムは約束の地だからややこしいことになるのです。

 

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日本でキリスト教の事をよく知らない私はアダムとエバは人類の祖先のように勘違いしていましたが、中国系やモンゴル系は無関係のようですね。インドから西の人たちがアダムとエバの子孫であり、ヨーロッパでもゲルマン民族の移動で追いやられたケルト民は微妙のような気がしてきました。まあケルトもインド・ヨーロッパ語族ですから子孫扱いなのかもしれません。アフリカの北部に住んでいた古代エジプト人は違いますが絶滅しており、現在エジプトの北部にすむ人種はアラブ系、イスラム系の人が中心です。古代エジプトはクレオパトラの時代の前に滅んだのですが、その前にアレクサンダー大王が来ており、彼の軍隊がハチャメチャで、強姦を繰り返して民族的に滅んだと言えるのではないでしょうか。クレオパトラもギリシャ人の顔だったと言いますしね。ただしアフリカ南部はアダムとエバとは無関係のような気がします。そうするとアダムとエバの子孫は私の印象よりは少ないような気がしてきました。繰り返しますが、生物学の話ではなく宗教の話です。

 

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創世神話があります。ヤハウェは人間を作った、その最初の二人がアダムとエバです。旧約聖書は人類がすべてアダムとエバの子孫となるように考えられていますが、当時、中国やモンゴルに人が住んでいるとは考えていなかったのでしょうね。神は地球を作って6日目に人間を作りました。つまり他の原始生物さえもその前の6日以内に生まれた事となり、今から6000年ほど前と言われます。これがキリスト教で進化論を信じたくない理由であり、地球は6000年前に誕生したのであり、アメリカの一部の地域では子供たちを学校に通わせたくない理由になっています。キリスト教は長い間科学の敵でした。その大部分が創世神話に原因を持っています。神は4日目に太陽と月と星を作っているので、地球が太陽の周りを回っては困るのです。

 

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現在のヨーロッパでは多くの人たちが宗教と科学を区別しています。それどころか宗教では認められない同性愛も認められ始めています。もしヤハウェが本当にいるのであれば地球は絶滅のピンチです。

 

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2015年9月25日 (金)

世界の歴史を少し正確に理解する アレクサンダーの遠征

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幸いなことに、アレクサンダー大王はエルサレムには来ませんでした。しかしペルシアを滅ぼし、エジプトにも到達し、巨大なヒッタイト王国を作ります。しかしアレクサンダー大王が亡くなるとプトレマイオス朝エジプトとセレウコス朝シリアができてエルサレムは再度はさまれてしまいます。これらの国はかつてのエジプト、かつてのメソポタミアではなく、かなりギリシャ文明、ヘレニズムに侵食された国になっていました。エルサレムも徐々に侵食され、神殿にはゼウス神の像が建てられました。偶像崇拝を禁止するユダヤ教の神殿なので屈辱ですね。

 

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ユダヤ人は野に下りゲリラ戦を繰り広げたようです。ユダヤ教の話を始める前に死海文書の話をしましたが、その文書を持ったクムラン教団もその一つだったと考えられます。ゲリラ戦に勝ったユダヤは再びエルサレムの地で独立国を作ります。ここまでが旧約聖書に書いてある歴史です。さてその後、ユダヤの国はどうなったのでしょうか。東ローマ帝国に侵略され、イスラム教徒に侵略されます。エルサレムの神殿は破壊され、現在はイスラム教のモスクが建っています。

 

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さてこれで旧約聖書に関しては終了なのですが、いくつか私が感じる疑問について整理しておきたいと考えています。その後、歴史の話に戻りまずは旧約聖書に出てきた国々を追うつもりです。中国の歴史にも戻らないといけませんし、そろそろ朝鮮半島の話題にも触れたいと考えています。紀元前の歴史は決して短くないですね。

 

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中国では漢の時代、エルサレムにナザレのイエスが現れます。新約聖書について見ていくのはかなり先の話です。

 

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2015年9月24日 (木)

世界の歴史を少し正確に理解する エズラとネヘミア

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バビロニアで暮らすユダヤ人にとって神殿が無い事もあり徐々にヤハウェは忘れられていきます。どうにか信仰を維持しようと頑張ったのは預言者エゼキエルや第二イザヤです。預言者は神の言葉を聞く人で(未来の事を言い当てる予言者ではないですよ)、キリスト教で言えば神父に近く、旧約聖書を仕上げてきた人と考えます。彼らのおかげで保たれたユダヤ教はエルサレムに帰りますが、神殿復興はうまく進みません。そして異教徒と婚約する人たちが増えてきたのです。

 

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この現状を見て嘆いたのは大司教エズラです。エズラの悲しむ姿を見て、人々は改心し異教徒との婚約を破棄するのです。ここでわかるのはユダヤ人が異教徒と結婚する事は好ましくないと思われている事です。ユダヤ教を守るためにはユダヤ教徒同士の純血を守らなければいけないのです。これは現在も守られています。このエズラは現在のイスラム教の規範を整備し直した人と考えられています。今のユダヤ教は著者が明確ではないのですが、強いて挙げればこのエズラが書いたユダヤ教と言えるかもしれません。

 

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そして神殿を復興したのはネヘミアです。わずか52日で復興させたと言われていますが、神がかり的な話ではなく、彼の建築能力が優れていたようです。ネヘミアはエズラよりも更に厳密なルールを定め、異教徒との結婚を正式に禁止しました。これでイスラエルとエルサレムは安泰…と見えますが、恐怖の大王が迫っているのです。

 

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アレクサンダー大王はギリシャ文明を世界中に広げ、ヘレニズム文化圏を作ったのです。

 

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2015年9月23日 (水)

世界の歴史を少し正確に理解する バビロン捕囚

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神に守られていると言われほどに堅牢だったユダの首都エルサレムも、紀元前588年からついに新バビロニアに攻め入られます。新バビロニアはその後、バビロン捕囚でアッシリアと同じようにイスラエルの人たちをバビロニアに連れ帰りエルサレムを破壊します。しかしアッシリアとの大きな違いとして、バビロン捕囚で連れて行かれたイスラエル人は「イスラエル人街」で暮らすことになります。つまり場所が変わっても民族の純血をかろうじて維持する事が出来ました。

 

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しかし残念ながらこの時にエルサレムは破壊しつくされたので神殿は無くなります。いくらイスラエル人街にまとまっているとは言え、イスラエル民族も旧約聖書も風前の灯でした。しかし、確かに神がかり的と感じるのですがペルシアが新バビロニアを滅ぼします。その時、ペルシアはイスラエルの人たちを奴隷扱いにするのではなく「エルサレムに帰り、国を立ち上げ税金を納めるよう」指示するのです。紀元前538年の事です。いわゆる中国の冊封的な国際関係を期待し、これでイスラエルが復活する事になったのです。

 

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ただバビロニアの都会に長く住むユダヤの人たちには廃墟のエルサレムに戻りたくないという人も多かったようです。既に神殿もない破壊しつくされたエルサレムに帰っても生活の不安ばかりです。他の国に攻めいれられればすぐに滅んでしまいます。しかも神殿が無いバビロニアでシナゴーグという、いわゆる地方教会的なシステムを作り上げていました。ユダヤ教に強い宗教心があってもエルサレムに戻る必要が無くなっていたのです。多くの人がバビロニアに残ったようですが、それでも一部の人は先祖の約束の地、エルサレムに帰ります。

 

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しかし再建には当然苦難の道が待っていました。

 

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2015年9月22日 (火)

世界の歴史を少し正確に理解する イスラエルとユダ

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ソロモンの死後、イスラエルの12の部族は内乱を起こし、二つの国に分かれます。ユダとベニミアンの二つの部族がエルサレムを中心とした南部にユダを、そして残りの部族が北部にイスラエルを作ります。この二つの国は同じ民族にもかかわらず戦争を繰り返します。200年もの戦争を繰り返した頃、とんでもない強国がメソポタミアに現れます。アッシリアです。アッシリアは残酷な国として知られていますが、イスラエルは紀元前8世紀にそのアッシリアに滅ぼされます。

 

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アッシリアは大量捕囚で征服したイスラエルからイスラエル民族をつれ出し、民族を混ぜ合わせてしまいます。つまりイスラエルの純血民族は事実上、絶滅してしまうのです。現在残っているイスラエル人はユダの国の人々、つまり今で言うユダヤ人です。もちろんイスラエル民族の子孫は混血となりアジアからヨーロッパまで広がっていると考えられますし、一部の人はユダヤ教を選択している事と考えています。混血は人間の進化を促し、純潔よりも優れた、強い子孫が生まれますので悪い話ではありません。今の日本でハーフと言われればあこがれの的に近いですね。しかしユダヤだけは宗教的に純血を重視するため大問題でした。

 

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残った国、ユダはアッシリアとエジプトに挟まれとても厳しい状況でしたが、エルサレムは堅牢でした。エルサレムに水道を引くことで長期籠城戦が可能となりユダは生き残った、つまりイスラエルの子孫は絶滅を免れたのです…この時は。さらに200年の月日が流れ、アッシリアが滅亡します。このアッシリアを破ったのが新バビロニアです。

 

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いよいよイスラエルに絶滅の危機、有名なバビロン捕囚が始まります。

 

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2015年9月21日 (月)

世界の歴史を少し正確に理解する ソロモンの知恵

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メソポタミア、トルコ、エジプトという巨大国家に囲まれ、西は海、南は砂漠という非常に厳しい地理条件のイスラエル、旧約聖書の中で繁栄したのはダビデとソロモンの二人の王の時代だけのように見えます。ソロモン王の時代はイスラエルが勢力範囲を最も広げた時代ですが、子供の頃からソロモン王と言われて一つだけ覚えている「裁き」があります。ある日、二人の女性が一人の子供を連れてきて二人とも「私こそが本当の母親」と主張します。その時ソロモンは「子供を二つに切り裂いて二人に分け与えよう」というのです。それを聞いた片方の母親が「それならば私は子供を相手に譲る」と言いましたが、ソロモンは譲るといった母親を本当の母と認め子供を渡すのです。大岡越前のような裁きですが「切り裂く」という所が旧約聖書的です。しかも本当の母親はソロモンなら本当に切り裂くと瞬時に判断したのでしょう、もう生きていてくれればいいという心の叫びが瞬時に出るほどの恐怖だったのでしょう。どちらの母親も譲らなければソロモンは本当に子供を切り裂いたと考えています。

 

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ソロモンに「裁きの知恵」を与えたのは神です。ソロモンの敬虔さに神が夢に現れ「何でも与えよう」と言ったとき、ソロモンが「裁きの知恵がほしい」と答えたのです。これはソロモンの知恵と呼ばれ、ソロモンは「賢王」とも呼ばれて尊敬されています。ソロモンがイスラエル3代目の王になったのは紀元前1000年頃です。ソロモンの父はダビデ、母はダビデが寝取ったバド・シェバです。エルサレムに最初の神殿を作ったのはソロモンですが、この神殿は現在残っておらず「嘆きの壁」はその後に再建された第三の神殿の城壁です。わかりやすいですね、エルサレムは少なくとも3回、破壊されたのですがその話はもう少し先になります。

 

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ソロモン王はキリスト教やイスラム教でも預言者として尊敬を集めており、スレイマンという中東で良く聞く名前はソロモンのトルコ語発音です。そんな知恵にあふれたソロモンは1000人もの妻を世界中から集め、いろんな情報を手にします。これは彼の外交手法でした。各国の情報の中には優れた宗教もあったようです。そのため、ソロモンは異教を許可し偶像崇拝を始めてしまいます。現在で言えば「宗教の自由」であり、世界中から優れた政治とほめられそうですが、当時は明らかに十戒に背く行為であり当然のようにイスラエルは没落を始めるのです。

 

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最初は国の分裂でした。ソロモンの死後、国は北のイスラエルとエルサレムを中心にしたユダの二つの国に分かれます。

 

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2015年9月20日 (日)

世界の歴史を少し正確に理解する ダビデとソロモン

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イスラエルの最初の王はサウルですが、有名なのは2代目の王ダビデです。紀元前1000年ころの王といわれています。英語ではDavid、デイヴィッドです。イスラエルを統一した王、エルサレムを首都にした王、カナンの地を征服していたペシリテの巨人ゴリアテを倒した王、そしてキリストの先祖です。最初は信心深いダビデ王ですが、権力を得ると戒律を犯します。姦通、殺人、嘘をつく、欲する、そして神を軽視する。

 

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当然ダビデには様々な試練が課されますが、何となく乗り切ります。ミケランジェロのダビデ像は特に有名ですが、五芒星は(ダビデと無関係らしいのですが)ダビデの星といわれます。そのダビデと姦通した後、元夫を殺してでも手に入れたヒッタイトの妻、バド・シェバの間に生まれたのが最も有名なソロモン王です。

 

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ソロモンはエルサレムに神殿を作ったことで有名です。そのソロモンは世界各国から1000人もの妻を娶り、その妻たちが信じる宗教の神殿まで建ててしまいます。素直に考えればいい人のように見えますが、当然怒りますよね、ヤハウェ。王国の分裂を予言するのです。もうわかってきましたよね、大王ソロモンでも神には勝てないのです。旧約聖書はモーゼの十戒の後、神に祝福し、繁栄し、神を裏切り、致命的な報復を受ける事の反復教育です。神を裏切れば自分や子孫に必ず報復がある、十戒をしっかり守るよう命令する「恐怖宗教」なのです。

 

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ユダヤの人たちは戒律を厳しく守ります。それは信心深いというより恐怖なのです。この戒律の厳しさに耐え切れず生まれるのがキリスト教なのです。もう少し旧約聖書の話を続けます。時代は恐怖の軍事国家、アッシリアが捕囚を始めたころとなります。ソロモンの後、二つの国、イスラエルとユダに分離したのですがそのイスラエルはアッシリアに滅ぼされます。そしてユダはその後に新バビロニアに滅ぼされ、「バビロン捕囚」の餌食となるのです。

 

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2015年9月19日 (土)

世界の歴史を少し正確に理解する 落穂ひろい

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ミレーの描いた「落穂ひろい」を見て、田園で女性たちが働く美しい風景画だと感じていました。しかしこの「落穂ひろい」はモーゼが許した貧困者救済の権利であり、落穂ひろいは宗教画のようなのです。歴史を知らなければ、絵画の深みがわかりません。モーゼ(つまり神の預言)は貧乏で食べ物が無い人たちは落穂を拾って、食べ物を得る権利を与えました。地主が落穂を拾うと神のお告げに背く事となり、天罰があると考えられました。

 

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落穂ひろいの絵画は地主がモーゼの言葉を守り、落穂を拾わせているという心の優しさ、また聖書への忠誠心を表明した絵画だったのです。貧困者を助けるという精神はキリスト教社会で今でも基本道徳となっています。膨大な金額の寄付をする西欧人を見たとき、日本人は売名行為ではないかと考えてしまいますが、彼らは単に神のお告げを守っているのです。カナンの地は枯れ、水と言えば流れの少ないヨルダン川しかなく、死海は塩水湖ですから常に食料は不足します。分け合う、互助という精神は民族が生き残るために不可欠であり、東南アジアや日本のような食料に困る事が少ない国では芽生えにくかった精神なのでしょう。この相互協力の精神は聖書の美徳です。キリスト教では一段と洗練されます。

 

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旧約聖書にも落穂ひろいの話題が出てきます。その一つがルツとナオミの物語です。このルツはダビデの先祖、つまりキリストの先祖に当たるそうです。ナオミという外国人女性を時々見かけ、「日系人?」と勘違いしますが、旧約聖書に出てくる聖人女性の名前なのです。キリスト教社会において名前は限定されており、多くが聖書に出てきます。数が少ないので重複が多く、ミドルネームなどで区別していく文化ができたのではないでしょうか。先日、猿に「シャーロット」と付けて日本では「不謹慎では?」と心配しましたが、シャーロットはキリスト社会の一般的な名前で、男性音になるとチャールズです。イギリス王家もその名前を選択しただけであり、猿にその名前が選択されたとしても何も気にならないのです。多分今年は西欧国家で何千人、何万人のシャーロットとチャールズが生まれるのですから。

 

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キリスト教社会の仕組みを知っていればわかる事は多いですね。しかしなぜ、キリスト教社会でお互いを呼び合うときにファーストネームを使うのか、今後の勉強課題です。

 

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2015年9月18日 (金)

世界の歴史を少し正確に理解する 十戒

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ユダヤ教の説明が長いのですが、重要な歴史ですから飽きたと言わずもう少しお付き合いください。とりあえず紀元前500年くらいまで(バビロン捕囚まで)は進みたいと考えています。さて十戒を思い切り現代の日本語に丸めて記述します。正確ではありませんがニュアンスがわかれば先の混乱が防げると考えています。神は次の10のルールを預言者モーゼに告げ石板に刻みます。

 

1.     神は私だけ(唯一神)

 

2.     偶像崇拝はだめ

 

3.     神の名前(つまりヤハウェ)をむやみに唱えてはいけない

 

4.     安息日を守る

 

5.     父と母を大切に

 

6.     人殺しはだめ

 

7.     姦淫はだめ

 

8.     盗みはだめ

 

9.     嘘をついてはだめ

 

10.  むさぼってはだめ(欲するな)

 

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これらはシナイ山で神がモーゼに告げた戒律です。5番目くらいまでは守られているという実感を受けるのですが、旧約聖書に書かれるイスラエルの戦争の歴史から6番以降には納得がいきません。この6番以降はイスラエルの人たちの間のみに成立し、イスラエル人以外には適用されないようです。この考え方はキリスト教やイスラム教でも踏襲されています。この後モーゼの一行がカナンの地に落ち着くまで長い年月がかかり、多くの戦争が繰り返されます。しかもモーゼは統率力が無いという事でカナンの地に到着する前に神に殺されているので、ここからはモーゼの後継者であるヨシュアの歴史になります。ここからはカナンに住んでいた民族を皆殺しにするイスラエルの歴史が描かれているのです。

 

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最初にエリコを攻略、ここでは「契約の箱」が登場します。この箱の中には十戒の石板がおさめられています。現在は失われているので、インディージョーンズでも取り上げられましたね。この時は契約の箱を持って回っていたら「城壁が自己倒壊し内部の人たちが絶滅する」ということで軍事行動が明確に記録されていません。しかしその後の戦闘では住んでいた王族を皆殺しにし、住民を奴隷にしてイスラエルを建国するのです、そう書いてあるのです。思い出してください、アダムとイブはメソポタミアに生まれ、アブラハムはメソポタミアから移動してきたのですが、彼がカナンに来た時に神が「ここの土地をあげる」と言っただけであり、彼らにとって何の縁もない土地だったのです。エジプトから攻め上がってきたイスラエル軍は、そんなアブラハムと神との約束など知らないカナンの原住民を全滅させて国を作るのです。「冗談だろう」とは思いませんね、イスラエルとパレスチナの残酷な戦争は今でも続いているのですから。

 

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いくら宗教とはいえ、島国の日本人感覚からはかなり離れています。この後、何度もカナンの人々は異教に傾倒し、その度に神ヤハウェが怒り、神の力で侵略戦争が起こり、イスラエルは再びユダヤ教に戻り、ヒーロー、ヒロインが現れてカナンを取り返すという紆余曲折を繰り返します。なんと7回も。イスラエルは侵略に弱い国だったことがうかがえます。この頃、紀元1200年頃、歴史の中でカナンは何度も外敵に征服されています。ヒーロー、ヒロインとして有名なのはデボラ、ギデオン、サムソン、サムエルなどですが詳しくは紹介しません。

 

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2015年9月17日 (木)

世界の歴史を少し正確に理解する 出エジプト

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旧約聖書の全ての事象を現実と結び付ける事には懐疑的です。いくつかの歴史も含まれていますが、いくつかは神の奇跡の演出です。ただし多くにはモデルとなる事象はあったと考えており、その時期が演出のため多少前後されているのではないかと感じています。モーゼがユダヤ人の解放をエジプトのファラオに断られたとき、神によりエジプトには10の厄災が降りかかります。その内の多く、例えばイナゴの来襲や疫病は発生の可能性がありますが、さすがに同時期に発生したとは考えづらいですね。これらのイベントは神の力を示すために、とても重大な出来事です。少なくともこれらのいくつかが実際に起こり、ファラオがユダヤ人の解放を許可したか、もしくはユダヤ人の逃走を阻止できる余裕がエジプトにはなくなったのではないかと考えられます。

 

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出エジプト記の最大のイベントはユダヤ人がエジプト軍隊に追いかけられ、水に行く手を遮られたときモーゼが杖を振ると水が割れるイベントです。ユダヤ人が渡りきると海は元に戻り追いかけていたエジプトの軍隊は溺れてしまったという、誰もが知っているイベントですね。この自然?現象が本当に起きるのかどうかを研究する学者がいます。潮の満ち引きなどが原因で海、もしくは湖が割れるような現象がどこかにあり旧約聖書に採用されたのではないかと考えていますが、ユダヤ人が渡った、エジプト軍隊が海に飲み込まれたという事象は無い、もしくはユダヤ人が渡った後で満潮になり大部分のエジプト人は渡れなかっただけと考えています。少なくともこの奇跡的な大事件はエジプトの歴史に残っていません。

 

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出エジプト記で最も重要な事件は奇跡の逃走劇ではありません。「十戒」です。十戒ついては次回で整理しますが、この十戒が今でもユダヤ系の人々やイスラム系の人々を憲法以上に束縛し、(日本憲法では許されるような)解釈さえ許さない絶対的な戒律として戦争や破壊の原因になっています。しかし当然悪い事ばかりではなく、多くの人の助けとなっています。

 

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今後、旧約聖書はこの十戒を破るとどのような事態を招くのか、実例が多く登場する物語となります。出エジプト、紀元前1300年ころに実際にあったユダヤ人のエジプト脱出、カナンへの到着イベントと考えらえています。多分、ここから起きる戦争の多くも史実なのでしょう。

 

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2015年9月16日 (水)

世界の歴史を少し正確に理解する ヤコブからイスラエルへ

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アブラハムの息子、イサク、その双子の息子がエサウとヤコブです。ヤコブはとてもずる賢い人物として描かれます。彼はある夜、天使と戦うのです。これが夢かどうかはわかりませんが、ヤコブは最後まで組みついて離れません。天使は観念し、彼に「神に勝つもの」という意味を持つイスラエルという名前を与えます。

 

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ヤコブ、いえイスラエルは12人の息子を持ちます。この12人がユダヤの12の民族のそれぞれの祖となるのです。その12人の息子の一人がヨセフです。ヨセフはヤコブに最も愛されたため兄弟の恨みを買い井戸に捨てられます。その後、奴隷商人に助けられエジプトで売られるのです。そう、ここでイスラエルの子供がエジプトに入るのです。ただしヨセフはエジプトで「7年の豊作と7年の凶作」を予言しファラオに認められます。彼らは7年の豊作の間に食料を蓄積し、7年の凶作を乗り切ったのです。

 

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ヨセフは彼を捨てた兄弟をゆるしエジプトに呼びます。エジプトに巨大なユダヤ人の町ができるのです。しかし時代が経つにつれ、ファラオはユダヤ人に強制的に労働を強います。しかもファラオはユダヤ人の男の子を全員殺す命令を出します。しかし一人の生後3か月の男の子が葦の船で流され、逃がされ、その男の子はファラオの娘に拾われ育てられます。彼こそがモーゼです。

 

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さあユダヤ教最大のイベント、出エジプトと十戒の物語が始まります。

 

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2015年9月15日 (火)

世界の歴史を少し正確に理解する アブラハム

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学生時代に教会に行き洗礼を受けましたが、私はキリスト教徒ではありません。祖母が敬虔なキリスト教徒だったので意味も分からず洗礼を受けています。ただしそれ以来教会には足を運んでいません。その時に見た聖書で覚えているのが、とにかく最初に人の名前が並んでいました。その中で覚えているのがアブラハムです。記憶違いでなければよいのですが、なにせ35年も前の30秒間の記憶ですからね。

 

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バビロニアに住んでいたアブラハムは妻のサライ(この時はすでにサラと改名)と甥のロトを連れて移住の旅をします。その時、神のお告げに導かれカナンに到着します。そしてシケムまで到着した時、神は「この地をお前に授ける」というのです。これがカナン、約束の地です。しかしアブラハムは子供に恵まれません。浮気でできたイシュマルは名前の通りイスラム、アラブ人の先祖となります。その後生まれた本妻サライとの子であるイサクがユダヤ教やキリスト教(ヨーロッパの民)の先祖となるのです。つまりアブラハムはキリスト教、ユダヤ教、イスラム教の先祖なのです。

 

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アブラハムの甥であるロトはソドムに住んでいました。もう予想がつく人が多いですね、ソドムの隣町はゴモラ、両方とも死海の南にあった町と言われています。この二つの町の人々に悪事がはびこっていたためロトの家族を逃がした後、神(天使)はソドムとゴモラを滅ぼします。ロトの家族は逃げましたが妻が途中で振り返ってしまい塩の柱になります。大洪水といい、ソドムとゴモラといい神は残酷です。

 

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ユダヤ教では神の名前、ヤハウェという名前を口にしてはいけません。十戒に明示されています。それほどに神は強力な存在なのです。神は人類を滅亡させようとしましたし、民族を絶滅させろと命じ、生贄を望み、神を信じなくなったユダヤの民を皆殺しにします。私たちのイメージする日本の神とは全く異なる恐怖の存在なのです。

 

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2015年9月14日 (月)

世界の歴史を少し正確に理解する ノアの方舟

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アダムの子孫はバビロニアで人口を増やしていましたが、悪事を働く人類を見て神は人類を創った事に後悔して人類を滅ぼすことにしました。しかし清らかな心を持ったノアだけに預言します、「巨大な洪水が来て40日続く」と。大きな箱舟を作り生物を一組ずつ乗せるように告げます。雨は150日も続き、船はアララト山に漂着します。そこからさらに2週間、鳩を使って水が引いたことを確認します。ギルガメッシュ叙事詩にほぼおなじ記述があり、メソポタミアで信じられない大洪水があった事は間違いなさそうです。150日は大げさかもしれませんが、何年か前にあったタイの洪水を思い出せが1か月を超える大洪水があったのかもしれません。例えば氷河期が終わり大量の氷河融解が続いたのかもしれません。

 

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箱舟は長さ160m程度で3階建て、今でも巨大旅客船クラスです。ただ船は上流に進んでおり、その点は少し不思議です。アララト山はトルコにある5000m級の山で、凹みを見つけては「ノアの方舟が到着した跡」として発掘まで行われています。ユダヤ教、キリスト教の人たちはこの神話に近い4000年以上前の話を信じているのです。私も洪水は信じますが、さすがに巨大船が150日の間も川の上流に向かって漂流したとは考えづらいのです。アララト山はないと思っていますが、神の奇跡を信じないとユダヤの人たちには神罰が下りますから信じることをやめられないですね。

 

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ノアには3人の息子がいました。セムはセム語族の先祖、つまりヘブライ人(ユダヤ人)の先祖となり、ハムはハム語族、つまりパレスチナ人やエジプト人の先祖となり、ヤフェトはインド・ヨーロッパ語族、つまりヨーロッパ人(ゲルマン人)、ペルシア人(イスラム系)、インド人(アーリア人)の先祖となります。そしてノアはハム(パレスチナ人)に呪いをかけるのです。その呪いが今でもユダヤ系とパレスチナによる領土争いの「言い訳」として使われることになるとは…。

 

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その後、人類は再び増大し、神の存在を忘れます。ユダヤ教はとても厳しいので、みんなすぐに忘れてしまうのです。人類は巨大な塔を作り神に近づこうとします。そう、バベルの塔の物語ですね。これはバビロニアにあったジグラッドと考えられています。ただジグラッド建設時代の物語ではなく、崩れたジグラッドの遺跡を見て創られた物語と言われています。これで創世神話は終了、いよいよアブラハムが登場しメソポタミアからカナンの地に旅立ちます。

 

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2015年9月13日 (日)

世界の歴史を少し正確に理解する エデン

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エデンの園はバビロニアのウルやウルクと呼ばれた都市のあたり、ペルシア湾の河口に近いところといわれています。神は創世記の6日目に土からアダムを作ります。アダムの役割は物事に名前を付けて回ることでした。神がアダムの肋骨からエバ(イブ)を作ったことは有名ですね。

 

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パンドラが箱を開けてしまったように、女性であるエバは蛇に騙されて「善悪の知恵の木の実」(リンゴとは言われていませんね)を食べ、しかもアダムにも食べさせます。そうすると二人とも裸でいることが恥ずかしくなります。とても有名なエピソードです。さて問題はこの木の実を食べた事が人類の原罪となるので、エバはなんてことをしてくれたのか…とも思いますが、考えてみれば「騙されて木の実を食べただけ」に対する罪の重さ、これが今後の旧約聖書に繰り返し出てきます。神は厳しく残酷なのです。

 

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約束を破った事に怒った神は男性であるアダムに勤労の苦を、女性のエバに出産の苦を与え、二人に寿命を授けます。この罪は子孫にまで永遠に続く、「原罪」となったのです…木の実を一つ食べただけなのに。旧約聖書は人間が神との契約を破り続けることによる罰の連続の物語です。その最初がアダムとイブから始まっているのです。

 

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アダムとエバには3人の子供がいます。カイン、アベル、セトです。カインはアベルを殺し「エデンの東」に逃走します。最後のセトがユダヤの子孫となり、歴史は続いていきます。ここで重要なこととしてアダムの子孫はまだメソポタミアに住んでいることです。メソポタミアを大洪水が襲います。

 

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2015年9月12日 (土)

世界の歴史を少し正確に理解する 旧約聖書 創世記

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ギリシャ神話は旧約聖書より新しい神話であることを認識しておいてください。「ギリシャ神話にそっくり」と感じるならば、ギリシャ神話が旧約聖書の影響受けている可能性があることを意味します。一方、旧約聖書がメソポタミアの影響を受けていたとすれば否定しません。

 

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創世記、最初の7日間の前には唯一神しかいません。神はまず1日目に昼と夜を作ります。次に水と天空の上下に分けます。3日目は天空の下の水が集まり海になり、水がないところに陸ができ、植物が生えます。4日目には太陽と月と星が作られ、5日目には魚と鳥が作られます。6日目には動物が作られ、神に似せて人間(アダム)が作られます。7日目の「土曜日」に神は休憩を取ります。

 

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安息日は聖書の考え方であり、日本では1週間に一度休むという習慣はありませんでした。長い間、日本人は勤勉だと言われましたが、実際は休む習慣がなかっただけなのです。そしてユダヤ教における休息日は週の最後の土曜日です。日曜日はキリストが復活した日であり、キリスト教の安息日です。イスラム教は太陰暦なので休みのタイミングはもっと複雑ですけどね。

 

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明治維新の凄さは大隈重信により太陰暦が導入され、キリスト教の安息日である日曜日を宗教的な意味を考えず採用したことです。西洋かぶれにも程度がありますね。

 

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2015年9月11日 (金)

世界の歴史を少し正確に理解する 聖書の歴史

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便宜上、旧約聖書と言わざるを得ません。旧約聖書は「歴史書」の要素を強く含んでいます。旧約聖書では歴史の失敗を反省し人類の義務(神との契約)とその義務を破った場合の結果(罰)を繰り返し説明して「神を強く信じろ」と教える教本です。歴史の失敗は多くが史実なのですが、その原因はユダヤ教徒が神を信じていないからだと繰り返し反省するのです。つまり反省部分は別として歴史上の失敗を拾い出すことが重要です。確かに一部は神話ですが、かなり多くの史実を含んでいると感じています。キリスト教でもこの「神と人類の歴史」の部分は旧約聖書を参照します。したがって新約聖書に創世神話はありません。

 

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旧約聖書は西洋史を学ぶ上で欠かせない歴史書です。創世記、アダムとイブ(エバ)、ノアの方舟、アブラハムの旅、イスラエル王国、出エジプト記とモーゼ、バビロン捕囚、これらの話題は神話と歴史の狭間として学んでいきたいと考えています。一方、新約聖書は歴史とは言いづらい内容が多く、あまり深くは触れません。しかしイスラム教については再び歴史的な要素がありますので少し触れていきたいと考えています。

 

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創世記は明らかに神話です。しかし神話としか考えられないようなアダムとイブの誕生の起源はメソポタミアの物語と考えられており、エデンの園はある程度場所が特定されています。つまり完全な神話ではなく、何か史実の裏付けがあるのです。ノアの方舟もギルガメッシュ叙事詩から同じ物語が見つかっています。

 

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聖書は戦争の原因にもなっています。長引く中東戦争、ヨーロッパによる侵略戦争、聖書がそれらの戦争を誘導したり許したりしているのです。聖書の把握なしに世界史は勉強できません。歴史としてとても面白いので、皆さんが聖書に興味を持っていただけると嬉しいです。

 

 

 

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2015年9月10日 (木)

世界の歴史を少し正確に理解する 聖書の歴史 その前に

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紀元前の歴史を勉強しています。メソポタミアの地にはバビロニア、エジプトには古代エジプト文明が花開いています。地中海の文明はメソポタミアの貿易の影響で発展しつつあります。メソポタミアの貿易港はシリア、イスラエルのあたりが中心となっていました。フェニキア人が住んでいたこの地域に将来住み着く民族をヘブライ人と呼びます。別名ユダヤ人ですが、ユダヤ人とはユダヤ教を信じる人という意味で人種の名前を指していません。

 

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死海の近くクムランの洞くつで聖書が見つかりました。紀元前2世紀から前1世紀の書物です。この文書の最大の意義は「現代の旧約聖書とほぼ同じ」という点です。現代の旧約聖書は紀元前の聖書とほとんど変わらないのです。「旧約」というのはキリスト教徒が勝手につけた「新約」に対する言葉です。神との新しい契約が新約であり、神との古い契約が旧約だというのです。しかし当然ユダヤの方たちにとって新約などなく単に「聖書」と呼ばれます。

 

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コーランはアラビア語以外に翻訳されることを禁止しています。聖書も日本語にする段階で大きな間違いが多数含まれます。彼らの言うヤハウェ、ゴッドと日本語で言う「神」は全くニュアンスが違います。少しでもニュアンスを合わせようとして「唯一神」と語られますがそれでも意味が異なります。日本には神学、仏教、儒教、風水などが根付き、キリスト教の説明に誤った例示が使われてしまいます。私もその点に注意しながら説明を進めたいと考えています。

 

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それでは紀元前1500年ころに成立した聖書の「構成要素」を学んでいきます。

 

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2015年9月 9日 (水)

世界の歴史を少し正確に理解する ギリシャの偉人達

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ギリシャ文化が特筆できるのは哲学と科学の大きな発展です。特にギリシャ哲学は現在、私たちが読むビジネス書にも引用が多く、その後の哲学は大きく進化していないとさえ感じてしまいます。中国の哲学ともいえる諸子百家も紀元前ですね。ギリシャの哲学者として特に有名なのはソクラテス、その弟子プラトン、さらにその弟子アリストテレスの3名です。

 

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ソクラテスと言えば「無知の知」「神のみぞ知る」という言葉が有名です。自分が知らない事を知ることが最初の一歩という考えで、今でも哲学の基本です。また彼は「徳=魂をよりよくすること」が人間の達成目標としています。アドラーの「貢献感」に似ているような気がします。プラトン位から理解が難しくなってきますが彼は「イデア」を主軸に置きます。徳とは何かという疑問から始まり、転生輪廻の考え方から、「心の目で見る物事の真の姿」をイデアとします。目で見る事が出来ないものが多くあり、心の目で見る事を重視します。物事の真の姿を見るという考え方はおぼろげながらわかります。ただアリストテレスの形而上学になりますと、私には難しすぎてわかりません(笑)ただ彼は自然科学についても造詣が深く科学の祖ともいえます。

 

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哲学者以外にもたくさんの有名人がいます。ピタゴラスといえばピタゴラスの定理、別名三平方の定理で有名な数学者です。医学の父ヒポクラテス、「人生は短く、術の道は長い」という言葉が印象的です。現代、医学は進化しましたが克服できない病は数えきれないほどあります。医術の道、まだまだ先は長いですね。数学と科学(工学)で有名なアルキメデスは武器も作っています。アルキメデスさんには学生時代、数学の定理でお世話になりました。この時代の数学がすごいのは、まだアラビア数字やゼロの概念がないのです。ギリシャ数字で計算するなんて、日本人が漢字を使って数式を解くのと同じで難解だったでしょうね。

 

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取り上げておきたいのは歴史の父ヘロドトスです。彼の著書はそのまま「歴史」。神話ではなく歴史をまとめた最初の本ともいわれています。ギリシャ、エジプト、ペルシアなどを含む本格的な歴史書であり、全12巻です。これらはすべて紀元前の話です。最後に悲劇作家アイスキュロス「縛られたプロメテウス」は演劇です。詳細は散逸し現在は再現されていませんが、今後の発見で再現ができるようになればぜひ見てみたいですね。

 

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2015年9月 8日 (火)

世界の歴史を少し正確に理解する エーゲ文明

 

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世界地図を見てわかる通り、ギリシャ、エジプト、メソポタミアの交易路は地中海でした。生活環境が過酷なカナンの地と強国が支配するトルコは通れないので、シリアの海からの貿易路は発展しました。それぞれの地で大きく気候が異なります。エジプトは材木が不足していますし、メソポタミアは宝飾品に飢えています。需要と供給、船舶技術が発展しました。

 

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メソポタミアの出口、シリアの位置にあったのがフェニキア文明で、紀元前15世紀ころの遺跡が残っています。物品の貿易だけではなく、メソポタミア文明の発信基地でした。フェニキア人というよりポエニ人という名前のほうが有名かもしれません、ポエニ戦争はローマの時代ですから将来の話です。そのフェニキアの沖合にあるのがクレタ島です。そこに育った文化がミノア文明。特に土器の模様と色が独特で美しい文明でした。紀元前20世紀頃からの遺跡が残っています。城壁が無いなど外敵から襲われることのない島国文明、縄文日本に近い平和な国だったのかもしれません。

 

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もう一つの重要な「ポリス」がトロイの木馬で有名なトロイアです。場所はトルコの西の端でギリシャに最も近い場所にありました。トロイの木馬は有名すぎるので説明不要ですね。パソコンの中にトロイの木馬を潜まされると大変です。紀元前2600年ころからの遺跡があります。もう一つはギリシャの一つのポリスであるミケーネでアテナイよりも古い紀元前1450年頃からの遺跡が残っています。「アガメムノンの黄金の仮面」で有名です。

 

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エーゲ文明ではヒエログリフに似た線文字が使われていました。文化はエジプトの影響が支配的であり、メソポタミアの窓口になっていたのではないでしょうか。なおエーゲ海は日本の九州と同じぐらいの緯度、海に囲まれている点も日本に似ています。地中海性気候は夏に雨がほとんど降らない温暖な気候ですが、夏に雨が降らないため穀物を作るには不向きです。穀物移動のためにも貿易や土器が発達したのではないでしょうか。レバノン杉を利用した船舶技術は地中海の航海に十分な納涼句を持っていました。ただ軍艦となれば話は別で数をそろえることは難しく、長い歴史の中で島国は戦争の回数が少ないため、平和が続き高度な文化が蓄積されたようですね。これは日本にも見られる特徴のように感じています。

 

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2015年9月 7日 (月)

世界の歴史を少し正確に理解する インダス文明

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学生時代にインダス文明として学んだ都市は2か所、ハラッパーとモヘンジョダロですね。ハラッパーは覚えやすい名前で学生の皆さんは助かりましたね。ハラッパーは、紀元前3300年ころから紀元前1700年ころまで存在したと考えられている古代都市です。原始的な文字や装飾の多い土器が印象的で芸術国家だったと考えられます。城塞は400m四方、穀物倉庫や作業台が発見されています。他に墓地や装飾品も発見されており文化に豊かな都市だった、上下関係がある国だったと推定されています。時期的にも文化の面でもメソポタミア文明に匹敵します。

 

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モヘンジョダロ、現地の意味で「死の丘」は紀元前2500年から紀元前1800年に栄えたようです。死の丘というのは古墳があるためで、畏怖され立ち入り禁止の領域だったとか。大規模な都市で今後の発掘で更なる発見が期待されています。平安京と同じく碁盤の目のように整備された区画、水道と下水が完備され、浴室や公衆浴場があったようで水にあふれる文化。建物は石ではなくレンガが使われており高度な古代文明です。

 

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しかし研究は私が学生の頃からあまり進展していません。問題はいくつかあります。まずこれらの都市が完全に消滅しているからです。洪水で滅亡したという説が有力だそうですが、今は砂漠になっており、しかもインダス文明と言う名前に勘違いをしてしまいますがインドではなくパキスタン、つまりイスラム圏でインドとの紛争地帯でもあり発掘は進みません。歴史を追求するために最も必要な条件は平和です。

 

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最大の問題は文字が解読されていない事で、民族や伝承も残っていないので歴史に対するヒントが何もありません。「古代核戦争説」というオカルトな消滅説があるほどインダス文明滅亡の歴史は闇の中なのです。

 

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2015年9月 6日 (日)

世界の歴史を少し正確に理解する ルーブル美術館展

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京都市立美術館で行われているルーブル美術館展に行ってきました。最大の見どころはフェルメールの「天文学者」です。キリスト教徒が少ない日本に配慮してか、日常の風景、風俗画が中心の展示でした。それでもキリスト教の影響は大きく、世界の歴史を少し勉強した現在、以前よりもはるかに楽しく展示品を見る事が出来ました。フェルメールだけではなくレンブラント、コローなどセレクションも一流、1600円と高額な入場料金にも納得です。ルーブルまで行く旅費は高額ですからね。ただ「天文学者」が不在となっているルーブルに足を運んだ人には申し訳ない気持ちにもなります。それほどフェルメールの作品は少ないのですから。

 

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まずは世界史を忘れた素直な絵画を見た感想。画面の左側の窓から採光している作品が多く、天文学者もその一例です。日本画にこのようなパターンは少なく、絵画を左側(もしくは左下)から見る西洋画にとって光が徐々に暗くなるという作品には孤独感というか時代の暗さというか、少なくとも現代社会に見る単純な快楽主義ではなく生きていくための1719世紀の「先行きの暗さ」と「ずる賢さ」を感じる作品群でした。光が何を照らすのか、また影が何を隠すのか、そんな空想が楽しめる作品群でした。

 

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フェルメールの天文学者は芸術に興味があったヒトラーが一度は奪った作品であり、裏にはナチスのマークが捺印されていると言われています。裏面を見る事はできませんでしたが、ヒトラーを虜にした作品の前に立ってみて、つまり歴史を知る事で一段と深みを感じる事ができました。「世界史はエンジニアにとって役に立たない」と切り捨てていた自分の裁量の狭さに大いに反省し、今からでも間に合うので世界史を勉強しようと再度決意した一日でした。

 

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2015年9月 5日 (土)

世界の歴史を少し正確に理解する サハラ砂漠

 

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学生時代、「地理は永遠に不変」という誤った認識を持っていました。世界第4位の広さを持つ湖、アラル海がわずかな期間で世界地図から消えるなんて想定外です。今、死海がピンチです。元来より流れ込む水が少ないのに、さらに灌漑で流入量が減っています。水位はこの10年で10m以上下がり死海の周辺で大量の陥没事故が発生しているのだとか。アラル海や死海の消滅は人間による水利用が原因です。死海には紅海から人工的に濃い塩分濃度の水を作って供給する案があるそうですが、それではテーマパークのようになってしまいますね。死海には微生物程度しか住んでいないので、海の水を流し込んでも生態系に大きな懸念はありませんが政治的には難しいかも。死海には旧約聖書の遺跡が多く、今後話題に取り上げます。

 

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サハラ砂漠の拡大と縮小は人間活動と関係なく有史前からサイズを変えているそうです。紀元前12000年から前5000年頃までサハラ砂漠は湿潤で、今より1000kmも南にまで下り小さくなっていたことがわかっています。地球が温暖化すれば空気中の水蒸気が増え湿潤化すると考えがちです。しかし地球温暖化が進む今、サハラ砂漠は乾燥が進んでいるのです。サハラ砂漠の北限は地中海に、西は大西洋まで到達しています。地中海性気候は夏に雨が降らないのですが、サハラが拡大して海を渡り地中海沿岸には冬にも雨が降らなくなるのではないでしょうか。いえ現実を見ればイタリアでは洪水などが起こっており、乾燥よりも地球温暖化の影響が大きそうです。地中海でサハラは隔絶されるのでしょうか。そうであれば地中海による湿潤化が北側にだけ影響を与えているのが不思議です、なぜ地球が温暖化してもサハラは湿潤化しないのか。世界全体を航空写真で見てみますと、砂漠はサハラからゴビまで巨大な舌のように続いています。砂漠は東に進むと北上し、ゴビまでくれば日本よりも北に位置します。つまり砂漠の範囲と気温には関係が無く、砂漠=暑いという印象も間違いです。そもそも日本の九州や中国南部はサハラ砂漠と同じ緯度にあり、砂漠と緯度に相関があれば中国や日本が砂漠化しています。「砂漠化」は何が原因なのか、私にはわかりません。もちろん科学的にはシンプルに「降水量が少ないため」であり、森林伐採など人間活動が一つの原因です。しかしサハラ砂漠はなぜ降水量が変化するのでしょう。サハラの周りには気流を遮る山脈や地中海のせいで海流の影響が少ないため大気の流れは不変のはずです。「地球システム」で考えれば大気の流れは地球全体の海流と気流の流れから決まり局地的ではありません。一つの例として情報が多いヨーロッパの状況から気流と海流の気候に与える影響を考えてみましょう。

 

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メキシコ湾流の変化の歴史はわかりません。人工衛星ができる前のメキシコ湾流の流路を正確に知る方法は無いのです。地球温暖化でメキシコ湾流が止まるのではないかと懸念されていますが、そうであれば過去に止まっていた時期があるはずです。地球の気温の変化以上にヨーロッパの氷河の量は大きく変化します。北海道よりはるかに北にあるヨーロッパに現在氷河が無い事、温かい事自体が異常を通り越して奇跡的ではないでしょうか。フィヨルドのようなごく最近削り取られた大地を見れば、ヨーロッパには最近まで大地を何百メートルもえぐりとるほど巨大氷河があったはずです。なぜ今、フィヨルドに氷河が無いのでしょうか。なぜそれほどまでにヨーロッパは温暖化しているのでしょう。つまりメキシコ湾流は現在こそ偏流しており、ヨーロッパの気温が高い現在は「異常な状態」と言えないでしょうか。このヨーロッパの気温の高さが大気の地球システムに影響し、位置的に近いサハラ砂漠の拡大を助長していないでしょうか。

 

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偏西風は地球の自転と大西洋がある限り止まらないと考えています。海流も止まらないように考えるのですが、どちらもスピードが変わる事があるように感じています。具体的にはメキシコ湾流の速度が気がかりです。温度が高いままスカンジナビア半島の近くまで暖流が来るのは海流の速度が速いからです。現状のスピードが異常であり、将来スピードが落ちるのではないか、そしてメキシコ湾流の発生源に当たるアフリカ西岸の海水温が変化し、サハラ砂漠が湿潤化するのではないか、その一方でヨーロッパは寒冷に戻るのかもしれません。この変化は1000年単位でゆっくりと進みます。私が生きている間に変化はわからないはずです。ただヨーロッパの寒冷化は戦争を招きますし、偏西風の影響でヨーロッパには雪が降り積もりすぐに氷河ができて人が住めなくなります。歴史の勉強を始める前に、人間活動による地球温暖化がヨーロッパの寒冷化を招くという説に共感していましたが、歴史を見ると地球の気候の変化は人間活動程度では影響を受けない、そして気候は私たちが想像する地球温暖化の影響よりはるかに劇的に変わるのではないかと感じています。ああ、長文になってしまった。

 

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2015年9月 4日 (金)

世界の歴史を少し正確に理解する クレオパトラ7世

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時代は1000年以上飛躍して、アレクサンダー大王の遠征を通り越し、先に古代エジプトの最後の歴史に進みます。エジプト、プトレマイオス朝の紀元前30年まで王位にあった最後のファラオ、クレオパトラは「世界三大美女」として有名です(他の二人は項羽の愛人、虞美人とトロイア戦争の原因となったトロイアのヘレネです)。クレオパトラの肖像は残っていないのですけど容姿よりも美しい声と優れた話術が魅力だったと伝えられています。こんな伝承が現代まで残っているのですから、どれほどの声だったのか興味がありますね。私も声の魅力は容姿以上の重要性を感じています。

 

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例に出して申し訳ないのですが、芸能人で言えば松たか子さんの声は素晴らしいと感じています。松たか子さんは「個人的な意見として」絶世の美女とは思いませんが、女性の魅力としては日本トップクラスであり、その理由は声にあると感じています。彼女の作品は選んで見てしまいますし面白い。また声優としても活躍されています。歌声も素晴らしいですが話し方が魅力です。歌声だけがすばらしい人は多いのですが、会話で魅力が下がる人は少なくありません。若手アイドルに興味が持てないのは養子ばかりを気にして声に魅力を出そうとしていないからです。声に気を使っている最近の女優としては沢尻エリカさんと感じています。彼女がスキャンダルにかかわらず魅力にあふれ、人気がある理由は容姿以上に声にあると感じています。女優さんでも男優さんでも声に魅力がある人は人気があります。緒方健さんは素敵でしたね。声がいい男優さんや女優さんはよくナレーターをされていますのでイメージがわくでしょうか。緒方健さんの息子さんもナレーターをされています。遺伝ですね。

 

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クレオパトラは多くの言語を話すギリシャ系民族だったようです。ギリシャ人であるアレクサンダーの遠征がありましたからプトレマイオス朝は既に生粋の古代エジプト人ではなかったようですね。彼女はカエサル(シーザー)の愛人となり、カエサルが死ぬと後継者のアントニウスと恋仲になります。アントニウスはローマを忘れエジプトのクレオパトラに没頭、ローマで人臣を失ってしまいオクタビアヌスに攻撃されるのです。その後、アントニウスはクレオパトラ死亡の誤報を聞いて自殺、クレオパトラはその後自殺、毒蛇にかまれて死んだという説もあり、なんだかロミオとジュリエットみたいですね。

 

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カエサルからオクタビアヌスの人物像について、詳しくはローマの歴史で。

 

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2015年9月 3日 (木)

世界の歴史を少し正確に理解する アメンホテプによる宗教改革

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エジプトの歴史で重要な人物がいます。アメンホテプ4世です。紀元前1300年代中盤のファラオで、彼の像は病弱に見えると言われています。2010年にミイラが特定されたそうで、その後の調査でどういう健康状態であったのか知りたいところです。昔と違ってミイラを保存したままゆっくりと解析するので、全容がわかるにはまだ時間が必要なのかもしれません。

 

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彼が歴史上の重要人物である理由は宗教改革「アルマナ」を行ったからです。この改革は次のファラオ(ツタンカーメン?)の時に排斥されていますが歴史上最初の一神崇拝です。彼が唯一神に選んだのはアテンで、ここまで話題に上らなかった神ですね。形はUFOのようにも見えますが、手をたくさん伸ばす太陽円盤です。神は形を変えるのですがアテン神は常にこの形のようです。このアテン神は夕日の神格化で最初は地方のマイナーな神だったそうです。アメンホテプに選ばれたことで大躍進を遂げますが、その後再び消えていくことになります。

 

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誰もが興味のある事として「出エジプト記」とアルマナ改革が同じ時期であったため、エジプトの唯一神が旧約聖書に影響を与えた可能性です。現在、一神教と言えばユダヤ教、キリスト教、イスラム教が典型で他ではあまり見かけません。これらは旧約聖書の創造主を共通の神としているので宗教や名前は違っても同じ存在です。ただしキリスト教は救世主キリストを崇拝する偶像崇拝ですから神の扱いが大きくありません。旧約聖書では「創造主が神の形に似せて人間を作った」とありますので太陽の形のアテン神とユダヤ教の創造主は姿が大きく異なり、別の存在とも言えます。それでも影響があった可能性は否定できません。

 

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アメンホテプによる一神教転換の目的は平安遷都に似ており、力を付けた神官から距離を置く(権限を神官から奪う)事で宗教と王家(政治)を一体化する事にあったのではないかと言われています。一神教が封建社会にとって都合の良い宗教である事はヨーロッパ支配の歴史から想像できますが、アメンホテプが最初からそのような政治目的を明確に持っていたのかどうかわかりません。一神教の効果についてはユダヤ教の議論で考える事にします。

 

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2015年9月 2日 (水)

世界の歴史を少し正確に理解する アブ・シンベル神殿と王家の谷

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アブ・シンベル神殿はスーダンに近いナイル河の上流にあり、ラムセス2世が妻のために作りました。この神殿は1960年代にアスワン・ハイダムを作ると水没するため、60m高台に移動されたことで有名です。建物の角度はとても重要で、特定の日、1年に二日だけ太陽光が奥の間に差し込むよう設計されていました。その日はラムセス2世の誕生日だったのですが、移動したせいで少し日付がずれたそうです。それでも今でも一年に2日だけ太陽光が奥まで差し込み4体中闇の王の像を除く3体に明かりがさす演出は、いろんなテレビ番組で取り上げられているためご存知の方が多いと考えています。ラムセス2世が信仰した太陽神ラーはハヤブサの頭を持つ姿で描かれることが多いのですがアブ・シンベル神殿では人間の顔をしています。エジプトの神はいろんな顔を持ちますからね。

 

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ラムセス2世は紀元前1300年から1200年頃のファラオ(神かつ王)です。ミイラがあるので詳細がわかっており身長183cmの巨漢、年齢は90歳くらいと長生きであったことが伝説ではなく事実とわかっています。ヒッタイト、つまり現在のトルコと戦争(カデシュの戦い)をして勝利した武勇伝を持ちます。トルコまでは支配できなかったようですがカナンの地は征服しています。「出エジプト記」でモーゼがユダヤ人を解放するよう要求した王がラムセス2世である可能性があります。ラムセス2世は建設好きで、エジプトに住むユダヤ人に厳しい労働を強いたと考えられ旧約聖書の記述と一致します。たとえラムセス2世でなかったとしても近い時代に「出エジプト」のイベントが起きた事は間違いなさそうです。

 

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アブ・シンベル神殿と並んで有名なのはエジプト・テーベにある王家の谷です。今でも発掘が続く王家の墓地で2014年にも大規模な集合墓場が見つかり日本でもニュースになりました。王家の谷で最も有名なのは未盗掘で発掘されたツタンカーメンの墓です。そのマスクは世界最高の宝と言われ値段がつかない価値だそうです。エジプトの宝は多くがイギリスやフランスに持ち出されました。イギリスの植民地ですからね、「盗まれた」という人さえいるでしょう。ロゼッタストーンは大英博物館の入り口近くにあり最も有名な展示物の一つですから、エジプトに帰れそうにはありません。まあエジプトは治安面で不安がありますし彼らは古代エジプト人ではなくアラビア人ですから宝を返してもらうよりイギリスやフランスがエジプトに賃貸料を払う解決策がよさそうに思えます。ちなみにロゼッタストーンについて、以前一つ記述が間違えていました。「3種類のエジプト文字」と書きましたが2種類のエジプト文字とギリシャ文字だったようです。シャンポリオンはギリシャ文字から他のエジプト文字も同じ意味だと想定して解読を進めたそうです。

 

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植民地時代が去ってからツタンカーメンの墓が見つかってよかったですね。現代のエジプトはイスラム国家、過激派イスラム教徒により破壊されない事だけを期待します。

 

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2015年9月 1日 (火)

世界の歴史を少し正確に理解する ピラミッドはすごいのか

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それほど難しい事ではない、単に労力の問題のように感じます。クフ王のピラミッドの内部構造は確かにすごいのですが、歴史で蓄積した技術があります。個人的にはスフィンクスやアブ・シンベル神殿のほうがよっぽどすごくて感動しますし、歴史の重要度から言えばヒエログリフのほうが重要です。ピラミッドは技術の集積であったとしても、不思議とかすごいとか感じられないのです。

 

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世界の七不思議という「誤訳」を誰が与えたのかわからないのですが、正確には観光目的の「世界の七つの景観」という観光案内で、その中にピラミッドが取り上げられています。観光ガイドなので生きやすい

 

世界の歴史を少し正確に理解する 古代エジプト文明

 

エジプトのナイル川周辺では10000年から9000年前に牧羊や農耕が始まったそうです。彼らの先祖はエチオピアやスーダンから北上してきたそうです。全ての人類がアフリカの一人の女性を起源にするというミトコンドリア・エヴァの考え方には懐疑的ですが、エジプトはアフリカですからアフリカ出身の民族である事には間違いないですね。現在のエジプト人はイスラム系アラビア民族が多いのですが古代エジプトではアフリカ人らしい、黒い肌の人たちが多かったのではないでしょうか。

 

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エジプトには紀元前4200年頃からの王朝遺跡が残っています。エジプトではメンフィスを境目として上下(南北)に異なる文化が生まれました。メンフィスという古代都市はカイロの30kmほど上流(南)にあります。紀元前3500年頃には二つの国が成立し上エジプト(南)の神はホルスでした。下エジプト(北)の神はセトで首都はメンフィスに置かれました。なぜ神の名前を出すかといえば、古代エジプトは日本と同じく現人神、国王が神であり、かつ政治の長だったからです。町ではワインの醸造、インフラとしての灌漑がおこなわれていました。紀元前3300年ころにヒエログリフが使われ始めています。

 

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第一王朝が上下エジプトを統一、首都はメンフィスでピラミッドの建設ラッシュとなります。この時期の有名な王と言えば、もちろんクフ王でしょうね。紀元前2500年頃です。ピラミッドの時代が終わり紀元前1500年頃になるとエジプトは最大領域になります。この時期の首都はテーベ、現在はルクソールという名前になっています。カイロからはるかに南でアスワンとの中間地点あたりです。領土は北が現在のシリアのあたりにまで伸びています。旧約聖書との関与が強くなる時期ですね。この頃の王には有名人が多くセティ、ツタンカーメン、ラムセスなど一人一人に詳しい歴史が残っているのですが驚いたことにまだ紀元前1500年、中国では殷の時代です。この頃、アメンホテプ4世によるアテン神信仰、一神教への転換が行われます。その後すぐに多神教に戻っているので国民がついていかなかったのですが、一神教は旧約聖書、キリスト教、イスラム教につながります。古代エジプトはヒッタイト(トルコ)との戦争などで徐々に弱体化します。アメンホテプの時代のアマルナから見つかった楔形文字の「アマルナ文書」は驚いたことにエジプトがヒッタイトと交わした外交文書で200枚もの粘土板からなっていました。重大な古代の歴史です。

 

古代エジプトはマケドニア、アレクサンダー王の遠征でさらに弱体化します。今でもエジプトのナイル川の河口に「アレクサンドリア」が存在しますね。その後クレオパトラ王の自殺で古代エジプトは滅亡してローマ帝国の一部となります。

 

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