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2015年7月 7日 (火)

日本の歴史を少し正確に理解する 資源を求めて

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日本にはエネルギー資源大国です。メタンハイドレイトの話をしている訳ではありません。

 

豊富な水を生かした水力発電と温暖な気候により自然の力で作られた再生可能エネルギーである「薪」は世界トップクラスの量です。薪を燃やしてできる灰は肥料にもなります。森林が多い日本において薪は家庭の暖房用として十分な量の燃料でした。間伐効果で地球温暖化にも大きく貢献します。私が高校の時まで、つまり昭和の後期でも実家では薪で風呂を沸かしていました。しかし人口が激増し、富国強兵を進める日本にとって水力発電と薪のエネルギーでは不十分でした。製鉄のため、製糸のため、もしくは蒸気機関車のために化石燃料が必要になりました。幸い日本には石炭があります。もちろん今でもありますが、質はよくないうえ他の国に比べると採掘コストが高いという弱点がありました。それでも軍艦島は炭鉱の島で世界遺産になりそうですが1970年代まで現役でした。九州や北海道に巨大な炭田がありました。なぜ日本は自国の資源である石炭をやめて石油に方向転換したのでしょう。自動車には石油しか使えませんが、火力発電には石炭が使えます。一番の原因はタンカーの巨大化と日本から比較的近い中東大油田の発見で、石炭採掘のコストが石油に比べると高くなったせいでしょう。簡単に言えば「金の問題」です、日本人らしい(当然私も含みます)。また高度成長期に大気汚染が大きな問題となり、日本の石炭が低質で灰分が多く公害の原因になりやすい事が問題となりました。蒸気機関車が日本から消えましたね。また日本の化学産業の発達によって石油留分で化学製品の原料となるナフサが燃料以上に必要になったなどの理由が考えられます。なお電力は国策として核兵器予備原料のため(と自民党の幹部が言っていました)原子力になり、原発事故で主権者国民の意志により天然ガスになりました。環境技術の向上で再び(輸入)石炭に回帰しつつあります。なお石炭の採掘は危険ですから、炭鉱で働きたいという若手日本人はいないでしょう。それでも石油価格が10倍になれば、ロボットによる石炭採掘が復活するかもしれません。

 

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日本は日本人が千年も質素で幸せに暮らせる薪や石炭を持っているのに「燃料資源が無い」という危機感が異常に高い不思議な国です。今は石炭の油化技術もありますから低湿な石炭でも液化燃料に転換でき公害問題もコストさえかければ解決できます(電気代が高いと文句さえ言わなければ。)石油の国家備蓄量は膨大さをみれば「原油の供給が止まると日本が滅ぶ」というレベルの危機感を持っています。戦争を本当に放棄したのであれば、ゆっくりとつつましやかに生きて行くには石炭で十分であす。それなのに政府は原発の再稼働に必死ですし、石油の使用量が減ってきているのに備蓄は今でも多いままです。ちなみに危機感は政府ではなくオイルショックで見ればわかる通り民間が持つパニック現象で、備蓄は貯金と同じで国民の求める懐具合です。

 

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ペリーが日本に開港を迫ったのは「鯨油」つまり鯨の油を戦艦の燃料にしており、その燃料補給のために捕鯨国、燃料大国日本との貿易が不可欠であり開国をせまりました。おもしろい事に日本はエネルギー輸出国として期待されていたのです。その後、明治日本は良質な石炭を求め中国の東北部に進出しました。ただし気温が低く食料の供給地には適しませんから日本経済を潤す効果は大きくありません。大正時代から昭和になり自動車と飛行機全盛の時代になって鯨油や石炭の代わりに石油が必要となってきました。特に戦闘機の時代になると軽質油(ガソリンや灯油)が必要になりました。飽食の時代となり、贅沢な食材がほしくなりました。中国にも油田はあったのでしょうが今でも中国原油(大慶)は「重質油」として有名です。現在のように重質油を軽質油に転換する装置もありません。軽質な「南方原油」と食材を求め、日本はアジアに進出した、それが大東亜共栄圏の背景です。

 

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昭和初期の歴史を見れば飢饉をきっかけとした南方の食料供給力や関東大震災からの震災復興、世界恐慌の金融不安から「経済圏の拡大」が目的だったように感じてきました。石油だけではないのです。やはり歴史勉強は必要です、かなり私の理解は間違えていました。ただし資源を求めて南下した事も事実で、日本の一つの大きな目的が南方原油であり、それは昭和天皇陛下の語録からもわかります。石油の供給停止が敗戦につながる「危機感」を持っていた、その国民感情は現在も残っており大量の(無駄な)備蓄につながっているような気がします。

 

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