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2015年6月24日 (水)

日本の歴史を少し正確に理解する 関東大震災

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学生の頃、関東大震災のような大被害は近代耐震設計の日本都市では発生しないと誤解していました。しかし現実は関東大震災以来、巨大地震が発生しなかったというだけでした。

 

誤解を打ち壊されたのは阪神淡路大震災です。この地震は巨大ではなかったものの都市直下型でした。関西は地震の少ない地域で、誰もが初めて経験する大きな揺れでした。私の家ではテレビが壊れ(当時はインターネットや携帯電話が無くて)情報が入らないため、どうしてよいかわからず、そのまま寝てしまいました。地震の時にどうすべきか、扉を開き避難ルートの確保、けが人はないか、津波の懸念はないか、今であればすぐに反応できることが、当時は全く機能していなかったのです。「地震の時は机の下にもぐる」という事だけが私の知っている地震対策でした。テレビが壊れ、皿が割れ、家にひびが入るほどの揺れなのに大きな地震なのかどうか把握できず二度寝したのです。

 

日本では「阪神淡路大震災の地震規模想定で」高速道路の強化工事など耐震工事が行われました。これでもう大丈夫と再度誤解しました。阪神淡路大震災の想定をはるかに超える東北の大震災が起こり、原発が爆発する姿を見て、人間の力では地震に太刀打ちできない「防災は不可能」と実感しました。私たちができるのは「減災」であり「復興」であると実感しました。原子力発電の「防災対策」は時代遅れであり、どんなに強化しても減災しかできず、必ず事故は起こります。既に起きましたね。

 

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日本は過去に大災害を経験してきていますが多くは詳しい歴史、教訓が残っていません。地震は特定のエリアを見れば数百年に1度しか起きないので経験の伝承が難しい災害です。詳細が残っている最初の大震災が関東大震災ではないでしょうか。死者数は10万人とも14万人とも言われています。東京の被害が大きいので直下型と勘違いしますが、実際には神奈川沖合80kmが震源です。火災による死者が圧倒的に多いものの10m近い津波が発生し被害は静岡から千葉、茨城にまで及んでいます。東京はあまりにも広範囲に焼失したため、復興の時に大規模な区画整備を行い広い道路が整備されました。よく地権者が揉めなかったですね、今では難しいかもしれません。

 

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東京の道幅が広いのは交通量の増加を予想していたわけではなく防災道路構想で、延焼を幅の広い道路で食い止めようと整備されました。今でもその機能は残っており、東京は細かく通行止めを作る事ができる防災システムが整備されています。神戸の地震は長田区を除き、関東大震災の時ほどの大被害ではなかったため道路区画は変わっていません。被害の大きかった長田区は地方政治が主導して再開発したためか、住民の期待にそぐわなかったようで今でも行政と揉めており「復興の失敗例」になってしまいました。東京という人口過密地帯の特殊性と被害規模に違いがありますが、震災復旧という面で大正時代の東京は模範となる復興です。人口過密地帯の復興は比較的容易なのかもしれません。震災復興の難しさは各地震に個性があり、過去の教訓が生かしづらく、特に東北の大震災では人口密度が低い過疎地に巨大津波という想定外の被害を受け、被害面積が広く復旧が困難です。東京であれば被害者は100倍かもしれませんが数年で復興したでしょう。

 

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地球に隕石が衝突すれば津波は100mを超える場合があるそうです。日本の歴史を見ると80mを超える津波の伝承があります。東北の大震災の後、堤防を高くしようという議論が出ましたが最近は収まりつつあります。区画整備、住居エリアの底上げなどが行われており、巨大堤防より優れた判断だと感じます。海の近くに住んでいるのに一生海が見えないなんて悪いSFドラマのようですからね。過疎ですし原発の問題もあり、どこまで町が再生するのか大きな課題です。長田区クラスの住宅過密地でも復興はうまくいっていないのですから平成の行政力が大正時代に比べて弱いのは確かです。考えるのは減災です。隕石の墜落、イエローストーンの噴火などが起これば人類は全滅しますから完全な防災は無理です。無理に完全な防災を進めれば景観やコストで失うものは少なくありませんし、結論から言えば地球には住めません。日本が嫌ならば今はアメリカやアフリカなどに引っ越す自由もあります。それでも私たちが日本に住みたいのは家族や友人がおり、美しい景観があり、おいしい日本食があり、楽しい日常があるからです。地震や津波のリスクを覚悟するだけの魅力が日本にあるからです。関東大震災の最大の教訓は巨大な被害を短期間で、しかも震災前より良い都市に復興した先人の努力です。防災よりも復興にこそ教訓を見つけるべきと考えています。私は海が見えるところが好きで今の家を買いました。津波のリスクを考えても引っ越すことなど考えていません。津波の時はマンションの最上階に逃げるようにします。それでもだめなら、例えば100mを超えるような高さの津波であれば諦めます。飛行機に乗る事に似ています。墜落のリスクは海外旅行の魅力に比べればはるかに小さい、そして飛行機墜落のニュースを見ても飛行機に乗ってしまいます。リスクを恐れすぎて人生を犠牲にするのはばかげています。「虎穴に入らずんば虎児を得ず!」

 

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