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2014年11月 2日 (日)

事故の教訓を生かそう

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東京電力原子力発電所の事故はさすがに忘れる事ができません。それでも意識や興味は薄れています。今でも放射性物質の恐怖が迫っているのに地理的に近い東京圏は平穏です。もう一度大きな地震が来たら、津波が来たら、東京は壊滅的な被害を受ける「可能性」を持っています。

 

いくつかの原子力発電所は再稼働に向かっており、再生可能エネルギーの買い取りは中止、つまり屋根にソーラーパネルを付けて電力が余って売る事さえできず、家計は大赤字となってしまいます。あれほど脱原発、再生エネルギーと騒いでいたのに、少なくとも再生エネルギーの活用は中止が決まった事に等しいと感じます。まあ私も日本で太陽光エネルギーや風力エネルギーを活用する事にはあまり意味を見いだせず、批判的な意見を書いてしまったこともありますから何も言えませんけどね。再生エネルギーの買い取り停止も、原子力発電所の再稼働も事故のフクシマの記憶が薄れたからではないかと感じています。今でも家に帰ることができない被災者の方々がたくさんおられるのに…

 

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原子力発電所の事故に限らないのですが、日本人は工場の事故に寛容というか、すぐに忘れてしまう傾向があります。2014年の大きな事故と言えば三菱マテリアルの事故で5名の方が無くなられていますが、覚えておられる方がいらっしゃるでしょうか。マクドナルドの鶏肉事件ではわかっている範囲で死傷者がいないのにマクドナルドの経営が傾くほどの損失を被っています。それに対して工場の事故に関して私たちは寛容すぎませんか?(マクドナルドへの対応が過剰とも言えますが。)これが私たち工場で働く社員の安全に対する意識を低下させるのではないかと懸念しています。もちろん、工場で働く以上「怪我をしない、誰も怪我をさせない」という意識をもち、安全第一で取り組んでいます。その取り組みは恐ろしいほどの厳しさです。例えば、階段の一歩目を踏み出す時の行動が悪ければ(たとえば一段飛ばしや走って上るなど)、指摘され、再現写真を撮られ他工場を含め会社全員に「改善すべき行動」として回覧されるほどです。事実、階段の事故のほとんどは最初と最後の3段で起きるそうなので意味があります。しかし工場外の人が見たらきっと驚くでしょうね。道路を横に並んで歩かない、階段を使うときは手すりを持つ、道を歩く時は一歩一歩「起こりうる危険」を考える、これらは私たち工場で働く人間にしみこんだ習慣です。もちろん電源ボタン一つを押す時でも指差呼称し、起こりうる最悪の事態を考えます。

 

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それほど安全意識は向上しているのに比較的大きな工場の事故が増えており、報道でその原因はざっくりまとめて「若手への技術継承不足」と言われます。それは遠因かもしれませんが、主要原因とは思いません。確かに私たちは行動をとる時「最悪の事態」を考えるのですが、経験が少なければ最悪の事態がわかりません。入社3年目までの人の事故の割合が高い事も統計上わかっています。しかしもっと大きな原因は、企業によるコスト削減による安全軽視です。以前に比べて働く人を減らし、監督職を減らします。もちろん無駄なコストは国際競争力強化のために必要です。それでも安全を犠牲にしてはいけないのですが、企業の安全意識が低下してコスト優先になっているような気がします。企業の安全は根性論、精神論、個人が努力すればよく小さな間違いを指摘するだけになっていますが、装置の劣化は安全意識ではどうにもなりません。大きな事故でさえもすぐに忘れる日本人の優しさが企業の安全に対する危機意識を小さくしているのかもしれません。「安全第一」なんて言っていますが、多くの企業が事故防止にはお金をかけていないのではないでしょうか。

 

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事故軽視は単なるリスクではなくコストでもあります。東京電力の事故は東京電力社員の給料にまで大きく跳ね返りましたし、まだ賠償問題も続いています。日本という国の信頼まで失いました。原子力発電所に電力供給が止まると危険だと指摘する人はいたようですが、1000年に一度の地震のためにコストはかけませんでした。私たちも同じ基準でリスク管理をしています。しかし1000年に一度の大地震は起こり、私たちは国土の大きな部分に住めなくなりました。国際競争力も重要ですが、過剰な位の安全意識が結局は長い目で見れば企業を守ると考えています。株主ばかりを見た利益重視は第二次産業にとって正しい選択ではありません。

 

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