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2014年10月21日 (火)

マクドナルドの失墜に学ぶ

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企業の寿命は30年と言われていました。しかし30年以上生き続ける企業は無数にあります。鉄鋼業、電力、ガス、石油などいわゆる素材エネルギー産業は生活に欠かせませんから名前が変わっても無くなりません。東京電力はあの大事故を起こしてもなくなることはありません。しかし郵便局の仕事が銀行や宅急便に「削られた」ように、東京圏に関西電力が進出を検討しているように、国営に近い企業でも安泰ではありません。特に食品企業は浮き沈みが激しく、継続して人気を保つには緻密な戦略と高い品質による信頼の維持が不可欠です。マクドナルドとコカコーラを比較してみましょう。なぜマクドナルドは失墜を始めたのでしょうか。一方でこれだけ飲料メーカーが増えているのに「コカコーラ」の売り上げが落ちないのはどのような工夫があるのでしょうか。

 

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顧客が味に飽きるという現象は食品を供給する企業にとって対策が取れません。しかしマクドナルドもコカコーラも飽きない味、安心できる味、日本人にとって「ごはん」に近い存在に到達しており「飽きる」という問題は克服しています。私は黒い炭酸砂糖水のコーラをつい飲んでしまいます。コカコーラのコマーシャル戦略は好印象なのにインパクトは少ない、商品もペプシと対抗するようなニュースになることはしない、薄く広く人気を保つことに専念しています。「嫌悪感を持つ人を最小限にする」という戦略でしょうか。ペプシの比較広告に私は嫌悪感を持ち、結果としてコーラを選びます。正直、あの黒い砂糖水のメーカーごとの味覚差なんてどうでもいい話ですからね、比較広告は購買意欲につながりません。さてマクドナルドはどうでしょうか。外食産業としては安く、どこで食べても同じ味、品質にも安心感がありました。CMはコカコーラと戦略が似ていたような気がします。私がマクドナルドに行かなくなった理由は二つあります。まず外食産業としてはかなり贅沢な価格設定になったからです、つまり価格が高いという印象がついた。「戦略がぶれた」と感じています。私が求めていたのはいつも同じ味を同じ価格で提供する「考えなくてよい」商品でした。しかし高級品が出て考えなければいけなくなった、期間限定だし数量限定なので買えない時があり不快感が増した、期待ほどの味ではなかった。価格は家族4人で行くと3000円を超え始めました。今はまた値下げをしたみたいですが、既に「高級ファストフード」の印象が特に家計を預かる家内に強く残りました。「マクド以外」が外食に行く時の彼女の口癖です。あの味で値段を上げたことには我慢ができないようです。これが戦略面での失敗です。値段を上げて客が減ったら「もう一度下げればよい」という戦略は明らかに間違いなのです。一度減った客を戻すにはハンバーガーを50円にするなど以前より劇的に下げなければ戻ってきません。

 

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二つ目に中国での鶏肉事件は痛手でした。しかし個人的な感覚ですが鶏肉が不衛生だったからではなく、事件直後のマクドナルドの対応が問題でした。マクドナルドのすべての品質、正確に言えばマクドナルドの品質に関する考え方に疑問を持ったからです。つまり私たちの記憶の中で「中国の鶏肉事件」が「マクドナルドの鶏肉事件」にすり替わってしまったのです。食品産業は品質の信頼損失が致命傷であり、それはマネージメントの対応次第で大きく異なるのです。企業人として品質の重要さと「過剰ではないか」と思われるほどの管理の意味を痛感させられます。マクドナルドの問題を整理してみれば、不衛生なものを「食べさせられた」のは顧客であり、それを顧客に売ったのはマクドナルドです。消費者にとってそれがすべてです。だれも原材料がどこから来ているかなんてチャックしないのですから、マクドナルドの品質管理に頼っていたわけです。社長の発表内容に中国の企業が問題でマクドナルドは被害者という雰囲気が漂いました。発表の時点で物を売って利益を得た中国の企業もマクドナルドも被害者ではありません。不衛生な食事をさせられた顧客が被害者です。ここに嫌悪感の根本があります。マクドナルドが契約していた以上(顧客が選択できないという面で)商品を販売したマクドナルドの品質管理責任は明確なのに、被害者面で責任逃れの発表をしてしまいました。社長の発言は株主に向けて将来の経営リスクを説明のでしょうが顧客に向いていなかった、不衛生なものを食べさせられて謝罪はそこそこに自己防衛に入る、明らかに「マクドナルドは被害者」という対応が伝わり顧客に嫌悪感を与えたのでしょう。あの時は自社の品質管理問題を認めひたすら謝罪すれば顧客は中国企業の問題点を知っていますから「中国企業の問題なのにマクドナルドが誠心誠意で謝罪して、信頼できる、被害を受けた会社だ」と勝手に考えたはずなのです。それが日本人顧客だと感じますし、謝罪する時の経営戦略です。

 

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マクドナルドがつぶれる事はないかもしれませんが、私は当分いかないでしょう。近いうちに理由は忘れるのですが、嫌悪感は不思議に残ります。例えば私は今でも雪印に対する不信感を持っていますが、その理由はすっかり忘れています。「マクドナルドには行きたくないけど…理由はなんだったっけ?」この状態が企業としては一番怖いのではないでしょうか。

 

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